2018年7月7日

10年。

フランスに来て今年で丸っと10年。
そして、昨日は父が亡くなってから丸っと10年記念日でした。

弟から送られてきた、とんかつ写真。
我が家の"命日には本人が好きだったものを食べる" 習慣により、
弟はとんかつを食べたらしい。ちなみに私はカレーラーメン。


















あっという間だなーってのと、色々してきたなーってのの両方。

正直10年前のあの日は、メロンパンを食べたことと、祖母にキレたこと、幼馴染の家に電話したことくらいしか覚えてないのだけど、そこからの日々を考えると、いろんな人と出会ったし、いろんなところに行ったし、いろんな事をしてきた。
考えれば考えるほど、おーおーおーおーいろんな風景でてくるなーーー、と。
その風景たちを思い浮かべて、ニヤニヤ、うきうき、とぼとぼ、できる。
10年ってやっぱり、長いんだ。

そんな中、軽く30年の付き合いにはなるであろう< おじさんおばさんズ > が、
我が母と共にわいわいがやがやパリにやってきたこの6月。
眠い目こすりながらエッフェル塔のキラキラ待ち。














少なくとも年に1回は海外旅行をする!と、旅行先で病気になろうと、レンタカーのタイヤがパンクしようと、スリに遭おうとへこたれず旅行している彼ら。
案内・観光・買い物…と、同時期に自分のリハーサルもあったのでずーっと付き合ってたわけではないけれど、あれもこれもこれもあれも…と見たいもの・やりたいことがいっぱいある割にどーも動きが鈍い。
あーそっか、この人たちも10歳歳をとったんだ…!

って当たり前のことだけど、長い付き合いだからこそなのかもしれない、どこかで止まっている"その人"の記憶をなんとなーく"その人"の今にしてしまっていると気づく。それは父に関しても同じで、私の中での父の記憶は10年前のままで止まっているのに、なんとなーく周りをふらふらうろついてるような気がする"その人"は、そのままの姿で今の父として私の感覚の中にいる。

現実と非現実、記憶と想像。
なんだか難しいことになっちゃったけど、コレ最近考えたこと。

ふはー、言葉にするの難しかった。
(おじさんおばさんズ、コレを説明したいが為に歳をとったと言ってすまん。)

そして、このブログを書きながらびっくりするほど涙がぽろぽろ。
自分の中で<死>の記憶は、それほど哀しい記憶ではないと思っているけれど、
やっぱり誰かとの記憶を掘り起こす時の、哀しいでもなく苦しいでもなく心をぐわーっとされる感じは、一生説明できないだろな。
ヒトってスゴイ。

あっそうそう、数日前に踊った< emotional intelligence > は、なんとなーくそんな感じとのことが言いたい作品でもあるのかもしれない。自分にも分からない、説明できない感情はどうしてもあって、説明できなくても体や顔を通してどうしても表面にでる。そして、それを人は察知できるし、共有できるんじゃないかな、と。

モンペリエで撮ってもらった写真
ⒸAlain Scherer














あっちにこっちに、最近あったことと考えてたことを書いたけど、
こうやって日常に起こること、経験したことを考えて、関連づけて、おもしろいなーって思って、作品にして、踊って。
10年前からすると、こんなことして生きている…とびっくりのような、そうでもないような、そんな事をしながら生きている。でもそれが楽しいし、好きなのだし、たまにはきついけど面白いし、しっくりくる。
もう、こうとなったらここに辿りつけたことに感謝あるのみです。

きっと我が父には理解不能だったダンスの世界。
それでも「分からないなー」と言いながら、無駄に目立つ赤いポロシャツを着て、笑顔で舞台を見に来ては寝てたんだろうなー笑。

亡くなるよりはだいぶ前だけど、家族写真の一枚。
お得意の、赤いシャツ着用済。